25ドルのスマホの役割 [Firefox OS]

もうひと月以上経ちますが、2月末の MWC2014 では 25 ドルの Firefox OS 端末のリファレンスモデルが大きな話題になりました。いくつか目にした記事を参考に、25 ドルのスマホについて考えてみました。

MWC2014 では、スマホの主戦場が新興国向け端末に移ったという記事がよく見られました。

WPJ 山口健太さんの MWC2014 レポートによると、昨年の MWC で世界第4位の通信事業者、インドの Bharti Airtel の CEO が講演で「端末メーカーに 30 ドルのスマートフォンを求めていくと発言」し、話題となっていたそうです。 (『狙いは新興国、世界のスマホのメインストリームは低・中価格機』)

今回の 25 ドルのリファレンスモデルも、この流れを受けて発表されたと考えられます。

この 25 ドルという価格の位置づけを理解するには、こちらの記事の Nokia の端末ポートフォリオが参考になります。 (『新興国で続々登場!Nokiaの新たなミドルエンドAndroidスマートフォン「Nokia X」』)

Nokiaの端末ポートフォリオ

Nokia device portforio

25 ドルの端末は、150 ドルの Android 端末 Nokia X や 45〜70 ドルのフィーチャーフォン Asha シリーズよりさらに下の、エントリーモデルの価格帯にあてはまります。

あるインタビューで Mozilla の Firefox OS 担当のディレクターの人が以下のように語っています。『[MWC2014]新興国はPCを“スキップ”してスマホに、一気に先に進める』

「今はインターネットにアクセスできていない人々に向けてその機会を提供している。」 「我々が新興国で狙っているのは、デスクトップ(PC)のスキップ。新興国はスキップして一気にスマートフォンを持つようになる。初めてインターネットにアクセスする機器がスマートフォンだ。」

Series 40 (S40) の Asha はフィーチャーフォンに分類されるものの、スマートフォンに似た外見で Web ブラウザを備えたインターネットアクセスデバイスです。(ちなみに S40 は Symbian の S60 と紛らわしいですが別物だそうです)

25 ドルの Firefox OS は、それよりさらに下の価格帯で、まだインターネットへのアクセス手段を持たない人々を Web へ導くエントリーモデルの役割を担うことになるようです。

途上国で固定電話をスキップして携帯電話が普及したように、安価なインターネットアクセス手段として PC をスキップして Firefox OS スマホが普及すれば、それが Firefox OS のもたらす破壊的イノベーションとなるのでしょう。(『Firefox OS の勝算』)

・・・と、きれいにまとめて終わりたい所なのですが、低価格 Android の伸びも著しいようで、ローエンドを巡る競争も厳しいものになりそうです。

こちらの記事によれば、中国では 500 元 (約 80 ドル) を切る正規メーカーの Android がけっこう出てきていて、最安値は 200 元 (約 32 ドル) のモデルもあるそうです。(『低価格化が止まらない中国に「500元スマホ時代」がやってくる』)

25 ドルには及びませんが、インドの CEO が求めていた 30 ドルに迫る価格です。

さらに驚いたのがアフリカの Web アクセス統計です。ながらく首位にあった Series 40 を、Android がこの数ヶ月であっという間に抜き去っていました。

25 ドルのスマホが、この統計に出てこない、インターネットへのアクセス手段を持たない人々に向けた一段下の価格帯のエントリーモデルで直接 Android と競合しなかったとしても、Firefox OS 全体で見ると低価格 Android は巨大な競争相手になりそうです。

Published: April 08 2014

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